そこにあって、そこに無いモノ
群馬県の神流川沿いの道をドライブしていた時の写真かな、以前お見せした鯉のぼりが沢山泳いでいた神流町周辺と思われる。
結構な山奥だから周囲は濃い霧に覆われて不気味な雰囲気だ・・車を走らせていると道路脇には朽ちるに任せた廃屋が目立つ
そんな景色を横目に霧の道を進んでいたが、何となく気になる廃屋があったので車を停めた沼おじさん・・・
倒壊してかなり経つのか苔むした塀ブロックが点々と続いていた・・湿った落ち葉に足を沈めながらブロックをたどって行くと
鬱蒼とした木々に囲まれた大きな平屋の廃屋が佇んでいた・・壁一面引き戸だから何かの商店だった建物かもしれないね 。
建物の脇に調理場のようなスペースがむき出しになっていた、 手前に積み上げられたレンガは釜だったのかな・・・
古そうなパロマガス炊飯器の加熱器だけがチョコンと取り残されていた・・その下には分厚い錆に覆われたガスボンベ・・・
存在は認知されつつも捨て置かれ、その場で建物と一緒にジリジリと朽ちて行くのだろう・・そこにあって、そこに無いモノ
広めの土間に囲まれた屋内、やっぱ普通の家って感じの造りじゃ無いね・・柱のポスターに『 '67 』って数字が見える。
1967年って事かしら、その時点で時が止まってるのかもね、これは8年前の写真だからこの時点で45年放置されてるのかな
だとすると案外しぶといね、荒れてはいるけどコレだけしっかり形が残ってるんだから・・ もっと緑に侵食されても良さそう
普通コレだけ緑に囲まれてたらすぐに蔦まみれになるから、ある時点まではそれなりに管理されてたのかもしれない。
こんな山奥にポツンとある家じゃ一旦住み手が居なくなると、それに続く人が現れる事の方が稀なのかもね・・・
再び車に乗り込むとバックミラーに映る廃屋は瞬く間に白い霧に消えていった・・・まるでそこに何も無かったかのように・・
そこにあって、そこに無い・・でも確かにそこにあった・・きっと今もあるだろう。