多様性が過ぎるゾウムシの世界
今年の春、久しぶりにお気に入りのハイキングコース『 渋沢丘陵 』を歩きに出かけた沼おじさん。やっぱいいんだよねここ。
以前軽く紹介はしていたけど、せっかくだからちゃんと記事を書こうかと思ったら、ここで撮ったゾウムシの写真が一杯あった
何せ畑に囲まれたこんな道だから、沼おじさんの大好きなゾウムシがしっかり居やがるんですわ、居たら撮っちゃうモンね ww
畑脇に生えた『 ミズキ 』の蕾にこんな象虫が居た。『 カシアシナガゾウムシ 』標準6mm程度。大きそうに見えて小さい。
この個体は多分標準より少し大きいと思うけど、それでも1cmにも満たない小さな虫だ。これでもデカい方なんだけど・・
何となく名前ぐらいは知ってるけど・・って皆さんは 1cm未満の虫なんてアリンコと同じくらい小さいと感じるだろうね。
実際大きめの蟻といい勝負だ ww 因みにゾウムシの大きさに、口の長さは含まれない。口の根元からケツの先までの大きさ。
名前に『 カシ 』と付くのは『 カシノキ 』の樫ね、『 シイ 』とか『 クリ 』とかドングリ系が好きなゾウムシって事です。
でもこいつはミズキに居た・・ミズキも好きなのかな、こんなに大事そうに抱えてるしね ww まぁ、たまたまかもしれない。
一匹ゾウムシを見つけたら、その周辺で他の種類のゾウムシが見つかる・・これはもう確率からいってそういうモノで ww
同じミズキにコイツを発見。『 キアシチビアオゾウムシ 』5mm程度の象虫だった。え?・・どこがゾウムシ?って思うよね
象虫には色んな種類が居て、コイツは『 クチブトゾウムシ 』ってグループに属する。クチブトには象みたいな長い口はない。
さらにコイツの場合はその中でも特殊な顔つきで、大きさの近い『 ハムシ 』のような顔をしているから、尚更分かり難い。
畑で風に揺れる菜の花にゴマ粒が付いていた『 ダイコンサルゾウムシ 』2.3mm 程度の象虫。ここまで小さいとほんとゴマ ww
サルゾウムシと名前に付くヤツは沢山いて、どれも同じくらいの大きさ。チビとかサルとか名前にあったら極小と思ったらいい
中には 1.5mm の超極小象虫もいる。逆に日本で一番大きいのは『 オオゾウムシ 』だが、大きな個体でも3cm に満たない。
でも最小と最大で20倍もの差があるんだから多様性が過ぎるよね ww 超極小でも拡大すればしっかり甲虫してますよ ww
そしてコチラ、長い口があるからゾウムシだと思ってしまう人も多いだろうけど、こいつは『 チョッキリ 』という昆虫だ。
ゾウムシ上科の仲間ではあるんだけど『 オトシブミ科 』に分類される。触覚が L字じゃなかったり見た目もちょっと違う。
枝を切り落とす習性があるからこんな名前 ww よくドングリの付いた枝が落ちてたりするでしょ、アレはチョッキリの仕業。
コイツは小さい方なので枝は切れないかもしれないが、この新芽なら切れそうだ・・卵を産みつけたりして切断するんだね。
葉っぱの写真を撮り忘れて何とも言えないが、羽の点刻が深いので多分『 カシルリチョッキリ ( 2.7mm 程度 ) 』だと思う。
散策路脇の木製ベンチで花の蕾と戯れている象虫がいたので、カメラを向けるとレンズの前まで踊り出て喧嘩を売ってきた ww
肉眼だと粉を吹いたように白っぽい青緑に見える『 コフキゾウムシ 』だが、拡大すると虹色に輝く鱗片に覆われた美しい象虫
大きさはだいたい5mm前後なんだけど、個体差が激しく小さいのと大きいのとでは二倍くらい差があるんだよね。
クズの葉があればどこにでも居るので象虫の中で一番発見率が高い。見た事ある人も多いだろう、象虫と分からないだけで・・
どこだったか忘れたが・・都会の駅のエスカレーターで、前に立っていた小綺麗な女性の後頭部を這い回っていた事もある ww
こちらは名前が可愛い『 イチゴハナゾウムシ ( 3mm程度 ) 』・・花ゾウムシと言うだけあって花の蕾に産卵するゾウムシだ。
こいつはイチゴとかバラが好きみたい。園芸家が『 バラゾウムシ 』と言って毛嫌いしているヤツの一人かもしれない・・
でも、大体それは『 クロケシツブチョッキリ 』と言うチョッキリだ。まぁ、何れにせよゾウムシ全般は害虫扱いされがち。
こんなのも居る。色も形も何かに似てるね・・こいつは『 カツオゾウムシ ( 11mm前後 ) 』だ。たしかに鰹節っぽいよね ww
コイツも畑や田んぼが多い場所では良く見る。象虫は太かったり細かったり、丸かったり平べったかったりシルエットも様々。
こいつは新鮮な個体だったから粉を吹いてしっかり赤茶色なんだけど、年季の入った個体は粉が取れて真っ黒だったりする。
そうなると近似種との区別がつかなくなって、途端に判別が難しくなったりする。多様性に富んでいる分、似たものも多いのだ
何せ日本だけで1300種類、発見されて分類待ちが数百種類控えているし、未発見の極小ゾウムシもまだまだ沢山いるハズだ・・
研究者とゾウムシの数が釣り合ってないんだろう ww だから名前は付いていても図鑑に載ってないようなゾウムシが山ほどいる
最後にもう一匹・・『 ヤノシギゾウムシ ( 3.5mm程度 ) 』木の葉っぱに付いてたんですが初めて見る象虫だったので
下に降りてもらいました。コロッと落ちると、もう発見出来ない・・初めての遭遇の場合必ずそいつの居た葉っぱも撮る。
頑張って調べて多分『 ムクノキ 』かなぁと言う所・・ここに同じゾウムシが何匹か付いていたから、ホストの木だと分かる。
さっきも言った様に似たモノが多いので、こうやってホストとなる植物を撮っておくと名前を調べるのに役にたつのだ・・
図鑑にヤノシギゾウはエノキに付くと書いてあった。ムクノキはエノキと近いようだから不安な名前検索に信憑性が増す ww
実際は3mmあるかないかってサイズだから分かりにくいと思うけど、今まで見てきたゾウムシより口がずっと長いでしょ。
これが『 シギゾウムシ 』と言う種類の象虫。ドングリなどの木の実にこの細い口で穴を開けて卵を産みつけるのだ・・
よく栗の中に入っている幼虫はクリシギゾウムシの幼虫だよ、食べたことあるよね ww 知ればもの凄く身近な昆虫でしょ。
他にも葉っぱで揺籠を作るヒメクロオトシブミ、アシナガオトシブミ、ブドウハマキチョッキリや、アオバネサルゾウムシに
カシワクチブトゾウムシ、チビシギゾウムシの一種、ホソクチゾウムシの一種など、狭いエリアで沢山の象虫を発見しました。
殆どは以前別の場所で撮った事のあるゾウムシだから、あまり深追いはしませんでしたが初見のモノにも何種か出会えて嬉しい
渋沢丘陵ハイクのレビューもそのうちに・・今日は山の日だから最後に丘陵から見た富士山を・・薄っすら天辺が見えるね。
今回は『 渋沢丘陵 』で撮ったゾウムシだけ紹介しましたが、面白い姿のゾウムシの写真は一杯持っている沼おじさん ww
世間との温度差も心得ているつもりなので ww またゾウムシ欲が高まったら他の種類も紹介しましょう。それでは〜